単純温泉とは?入浴での効能や美肌効果があるアルカリ性単純温泉について解説

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温泉はどこの温泉に入っても同じ効能が得られるというわけではなく、温泉ごとの環境省自然環境局が定める10種類の「泉質」によって効能が分かれています。
今回は、その中でも最もシンプルな温泉「単純温泉」(たんじゅんおんせん)について説明していきます。

単純温泉(単純泉)とは?

温泉

単純温泉(単純泉)とは、環境省が定める温泉の成分19種類が規定値に満たない泉温が25℃以上の温泉のことです。
例えば硫黄泉の場合だと、温泉1㎏中に硫黄が2㎎以上含有していないと「硫黄泉」として名乗れず、他に含有成分が規定値に満たなければ「単純温泉」になります。

規定値に満たないから「ダメな温泉」「家の風呂と同じ」というわけではなく、成分が薄くて優しい温泉なので湯あたりしにくく、肌が弱い人でも入れる温泉として単純温泉は親しまれています。
肌が弱い人だけでなく、赤ちゃんや妊婦でも入浴できることから「家族の湯」とも呼ばれます。

日本国内の温泉の約40%がこの「単純温泉」に該当するのですが、環境省が定める療養泉に当てはまらない「モール泉」(植物性有機質を含有する温泉)は単純温泉にグルーピングされます。

アルカリ性単純温泉と弱アルカリ性単純温泉とは?

温泉好きの人は「アルカリ性単純温泉」と「弱アルカリ性単純温泉」という単語を見かけたこともあると思います。
それぞれ、pH(ペーハー)値8.5以上の単純温泉のことを「アルカリ性単純温泉」と言い、pH値7.5~8.4の単純温泉を「弱アルカリ性温泉」と言います。

弱アルカリ性単純温泉には、古い角質を取ることで美肌効果があるとされています。

単純温泉と銭湯の違い

温泉の成分が規定値に満たないことから、単純温泉は銭湯のお湯と何が違うの?と思う方もいるでしょう。
単純温泉は、環境省が管轄する温泉法によって定められた「療養泉」のことで、薄いとは言え温泉の成分がきちんと含まれています。
一方銭湯のお湯は水道水や地下水などを人工的に温めたもので、温泉法で定められた療養泉とは異なります。

また、温泉と銭湯の違いは、法律によって環境省の管轄にあるかどうかという点もあります。

単純温泉の効能・適応症

温泉イメージ

単純温泉に入浴(もしくは飲用)することで期待できる効能「適応症」(てきおうしょう)について説明します。

心の病に効果あり?単純温泉の浴用の効能

単純温泉とアルカリ性単純温泉の浴用(入浴)による適応症(効能)は、刺激の少ない優しい温泉ということで自立神経不安定症・不眠症・うつ状態といった心の健康に対して効果があるとされています。
この心の健康に関する適応症は、もともとは単純温泉の適応症として認められていなかったのですが、環境省が定める鉱泉分析法指針が平成26年に改訂され、自立神経不安定症・不眠症・うつ状態の項目が追加されました。

また、すべての温泉に共通する効能の「一般的適応症」として、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進があります。

単純温泉の禁忌症

禁忌症(きんきしょう)とは、入浴(浴用)または飲用で身体に悪い影響を与える、つまり「こんな人はこの温泉に入らないようにしましょう」という条件のことを言います。

単純温泉は刺激が少なく優しい温泉のため泉質別禁忌症と呼ばれる、単純温泉独自の禁忌症は浴用・飲用ともにないのですが、「一般的禁忌症」という療養泉全体に該当する、熱があるなどの病気時、活動性の結核時、進行した悪性腫瘍または高度の貧血、身体衰弱が著しい場合、重い心臓病、肺の病気、肝臓の病気、消化管出血や目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期には入浴を控えるようにしてください。

それ以外の方には、赤ちゃんや妊婦さんも安心して入浴することができます。

単純温泉・アルカリ性単純温泉は刺激が少ない温泉好きにおすすめ

入浴する赤ちゃん

アルカリ性単純温泉を含む単純温泉は前述したように、日本国内にある温泉の40%を占めるため、都幾川温泉(埼玉)・白馬八方温泉(長野)・鹿教湯温泉(長野)・石和温泉(山梨)・宇奈月温泉(富山)・下呂温泉(岐阜)・道後温泉(愛知)・湯布院温泉(大分)をはじめ、全国どこででも楽しめる温泉です。

また、他の9種類の療養泉と比較しても刺激が少ないので、老若男女、幅広い人がリラックスできる温泉です。

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