酸性泉(酸性温泉)とは?効能や注意点と人気おすすめ温泉宿3選

「酸性泉」は、その高い殺菌作用から「傷の湯」とも呼ばれています。酸性泉の殺菌作用は傷のほかに、アトピー性皮膚炎をはじめとした皮膚病にもよく効くのだとか。今回は、そんな酸性泉の特徴や効果効能、注意点などとともに、酸性泉が楽しめる全国のおすすめ宿をご紹介していきます。

酸性泉の特徴


「酸性泉」とはどのようなものか説明します。まず、「酸性泉」の定義から見ていくことにしましょう

その1:酸性泉の定義

「酸性泉」とは水素イオンが多く含まれている温泉の「泉質名」のことです。温泉水1kgの中に水素イオンが1mg以上含まれているものが酸性泉に分類されます。水素イオンが含まれていることによって酸性の性質をもつため酸性泉と名付けられました。

※液体の液性には、酸性と中性、アルカリ性という3つの属性があり、ph値(ペーハー値・ピーエイチ値)によってそのどれかひとつに分類されます。

■ph値による液性の分類
・pH2.9以下 酸性
・pH3〜5.9 弱酸性
・pH6〜7.4 中性
・pH7.5〜8.4 弱アルカリ性
・pH8.5以上 アルカリ性

おなじ酸性泉のなかでも、ph2〜ph4程度のものは単に「酸性泉」と、ph2以下のものは「強酸性泉」と区別して呼ばれています。強酸性泉のお湯が楽しめる温泉地として有名なのは秋田県にある「玉川温泉」。お湯に包丁をつけておくと、一晩で溶けてなくなってしまうといわれるほど、玉川温泉のお湯は強烈な酸性泉です。酸性泉のお湯へ入浴する際には、アクセサリーなどの貴金属を取り外してください。

酸性泉は海外ではあまり見かけませんので日本ならではの泉質といえます。例えば、日本を代表する名湯「草津温泉」も酸性泉のお湯が楽しめる温泉地なんですよ!

その2:臭い

そんなに強い臭いではありませんが、酸性泉のお湯には独特の刺激臭があります。お湯の違いによって臭いの強さは変わりますが、気づくか気づかないか程度の弱い臭いであることがほとんどです。

その3:味

酸性泉のお湯には酸味があります。刺激的な酸味なので口にふくむのはあまりおすすめできません。また、酸性泉を薄めずにそのまま飲用するのは絶対にやめてください。胃がただれるおそれがあります。

その4:色

酸性泉のお湯のほとんどは無色透明。ごく稀に黄色味がかっている場合もありますが、多くの場合は色がなく澄んだお湯です。

その5:酸性泉の代表的な温泉


酸性泉の代表的な温泉地は草津温泉と玉川温泉です。どちらも強酸性泉の刺激的なお湯が楽しめます。

酸性泉の効能や注意点は?


酸性泉のお湯には高い殺菌効果があり、ニキビや水虫、皮膚の疾患、切り傷などによいとされています。また、泉質別適応症として、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などへ効果効能があるとされているんです。

刺激が強く湯あたりを起こす可能性が高い泉質であるため、長湯をせず入浴後は必ず体をシャワーなどで洗い流してください。特に高齢者で皮膚乾燥病をわずらっている方は入浴を避ける必要があります。また、薄めれば飲用をすることはできますが、お腹の調子が悪い場合には避けてください。

酸性泉の適応症や禁忌症について以下にご紹介していきます。適応症や禁忌症の詳しい説明はこちらをご覧ください。

「泉質」に関する情報

その1:適応症

浴用:慢性皮膚病(アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬など)
飲用:慢性消化器病

その2:禁忌症

浴用:高齢者の皮膚乾燥病
飲用:下痢の時

その3:肌への刺激が強いため注意が必要

刺激の強い泉質であるため、酸性泉への長湯は禁物です。高い確率で湯あたりを起こし具合が悪くなってしまいます。湯上りの際には、必ずシャワーなどで体を洗い流してください。肌がデリケートな方や高齢者、小さなお子様にはあまりおすすめできない泉質です。

その4:妊婦は入浴して大丈夫?

医学的な見地に立てば、温泉の成分が妊婦やお腹の赤ちゃんに影響を与えることはないとされています。ただし、妊娠中はホルモンバランスが崩れている可能性の高い時期。刺激の強い酸性泉が肌や体に悪い影響を与えないとも限りません。妊娠中の入浴は避けた方がよいかもしれませんね。

その5:生理中は入浴して大丈夫?

生理中も妊娠中同様、ホルモンバランスが崩れている可能性の高い時期です。刺激の強い酸性泉のお湯への入浴は避けた方がよいかもしれません。もし、それでも入浴される場合は、周囲の方々への配慮を怠らずマナーを守って入浴を楽しんでください。

その6:赤ちゃんは入浴して大丈夫?

酸性泉のお湯は刺激が強いため、肌のデリケートな赤ちゃんを入浴させるのは避けてください。赤ちゃんの入浴には、刺激の少ない「単純温泉」や「塩化物泉」のお湯がおすすめです。

酸性泉のおすすめ温泉宿3選

それでは「酸性泉」を体験できる温泉宿を3軒ほど紹介します。

その1:八甲田山の美しい自然に囲まれた「酸ヶ湯温泉旅館」

酸ヶ湯温泉

「酸ヶ湯温泉」の効果効能豊かなお湯が自慢の温泉宿です。酸ヶ湯温泉は温泉の質や湧出量、充実した施設、交通の便の良さなどが認められ、昭和29年に「国民保養温泉地第1号」に指定されました。「酸ヶ湯温泉旅館」は現在でも、日本屈指の酸性泉と趣のある建物が人気を博し多くの方が訪れる温泉宿となっています。

「酸ヶ湯温泉旅館」の詳細情報

施設名 酸ヶ湯温泉旅館
住所 青森県青森市荒川字南荒川山国有林小字酸湯沢50
電話番号 017-738-6400
営業時間 チェックイン:15時00分〜、チェックアウト:〜10時00分
定休日
利用料金 9,180円~16,524円(税込)
駐車場 無料(150台)
URL http://www.sukayu.jp/

その2:湯治での長期滞在もおすすめ 「田沢湖 玉川温泉」


ph1.2という驚異の「酸性泉」が楽しめる湯治宿です。ひとつの源泉から湧き出る温泉の量で日本一を誇ります。自慢の強酸性泉と単一源泉から毎分9,000リットルも湧出するその豊富な湯量を活かし、古くから湯治場として栄えてきました。施設内には看護師が常駐しているので、安心して湯治をおこなうことができます。

「秋田県 田沢湖 効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉」の詳細情報

施設名 秋田県 田沢湖 効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉
住所 秋田県仙北市田沢湖玉川渋黒沢
電話番号 0187-58-3000
営業時間 チェックイン:15時00分〜、チェックアウト:〜10時00分
定休日
利用料金 4,428円~19,224円(税込)
駐車場 あり
URL http://www.tamagawa-onsen.jp/

その3:草津最大級の大浴場と岩造りの露天風呂「ホテル櫻井」

草津温泉で最大級の広さを誇る大浴場が自慢の温泉宿です。ほかではなかなかお目にかかれないほど広々とした大きな浴槽で、草津温泉のお湯を楽しむことができます。草津のお湯は、硫黄成分が豊富に含まれる「酸性泉」。「恋の病以外ならなんでも治す」といわれるほどの効果効能豊かなお湯を堪能してみてください。

「草津温泉ホテル櫻井」の詳細情報

施設名 草津温泉ホテル櫻井
住所 群馬県吾妻郡草津町465-4
電話番号 0279-88-1111
営業時間 チェックイン:15時00分〜、チェックアウト:〜10時00分
定休日
利用料金 10,260円~114,480円(税込)
駐車場 無料(300台)
URL http://www.hotel-sakurai.co.jp/

酸性泉の旧泉質名と新泉質名


温泉の定義や効果効能などを定めている温泉法は平成26年に新しく改定されました。新しい温泉法では、泉質が新たに分類し直されたため、旧分類から名称が変わった泉質や新たに追加された泉質も存在します。

酸性泉は、旧分類では「酸性泉」という名称でしたが、新たな分類では「単純酸性泉」という名称に変更されています。つまり「酸性泉」は俗称であり、正式には「単純酸性泉」と呼ばなければならないということですね! ちなみに、酸性泉に関しては、名称のほかに旧分類から変更された要件はありません。

酸性泉に生息する生物

酸ヶ湯 八甲田山 地獄沼

酸性泉の中では大腸菌や細菌のほとんどが死滅してしまいます。しかし、酸性を好む細菌や古細菌、紅藻など酸性への耐久性が強い藻類が生息している可能性があります。

酸性泉の特徴を知って上手に楽しもう!

酸性泉は、水素イオンを多くふくむ酸性のお湯です。酸性のお湯が発揮する高い殺菌効果が、傷や皮膚病に効くといわれています。刺激が強い温泉でもあるので長湯は禁物。肌がデリケートな方や高齢者、小さなお子様は入浴を避けた方がいいかもしれません。お湯から上がる際は、必ずシャワーなどで洗い流すようにしてください。注意点を守って、酸性泉のお湯を上手に楽しんでくださいね!

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