【生ける伝説】三助とは?江戸時代からの歴史や現在の使い方まで

三助(さんすけ)とは? 江戸時代からの歴史について


日本古来における銭湯に、「三助(さんすけ)」という番頭がいたのをご存知でしょうか?

この三助とは、銭湯の番頭をしたり、お客さんの背中を流したり、髪の毛を洗ったりと、さまざまなサービスをおこなう男性従業員のこと。

江戸時代頃から栄えた文化であり、三助の見習い中は釜焚きに必要な薪などの燃料を集め、夕方になるとお客さんが脱いだ靴を片付け。修行を重ねると2〜3年後には浴客の背中を流すことができ、そこではじめて「三助」と名乗ることを許されます。三助はふんどし姿や半股引で客室に出ると、「流し代」を払ったお客さんの背中を流して回ったのでした。

三助になる人は銭湯経営者になって独立することが多く、一人前に認められるまで10年程度の年月を要したのだとか。三助というなりわいがあったことからも、日本の銭湯文化がいかに栄えていたかわかりますね。

三助の使い方と作法について


三助は基本的に、銭湯客の体を洗い流したり、アカスリを任されたり、お客さんが自分でケアできない場所をサポートする役割を果たしていました。

番台で三助を希望する旨を伝えると流し場に桶湯が用意され、そこまで訪れると三助によるサービスが始まります。銭湯において三助は、利用客の待ち時間や順番を間違えないようにするだけでなく、手際よくサービスをおこなう必要のある、なくてはならないお役目として重宝されました。

驚くことに当時の三助は男女問わず流しのサービスをおこなっており、女湯の中に男一人で混じってまわることもあったたのだとか。女性も三助の存在に抵抗がなかったとされ、“銭湯のプロ”である三助に背中を流してもらうことは、一種のステイタスとして普及していました。

三助を利用した後は「流しの札」を渡し、その札の数によって給料のほかに歩合給がつくようになっていたのだそう。当時三助の給料は、銭湯で働く男性従業員のなかで一番の高給取りでした!

三助は今でもいる? 日本最後の三助について


そんな三助ですが、昭和後期から平成初期にかけて一般家庭にお風呂が普及していき、銭湯施設が減るとともに衰退します。

日本で最後となる三助職人は、東京都荒川区東日暮里の銭湯「斉藤湯」で50年勤めた「橘秀雪(たちばなひでゆき)」さん。2009年に放送された「BOSS」のテレビCMで一躍話題となり、北海道から九州まで、生ける伝説である橘さんに背中を流してほしいという銭湯ファンが殺到しました。

最後の三助の引退

富山県氷見市の農家に生まれた橘さんは、15才の中学卒業とともに上京し、「いつか自分の銭湯をかまえる」という思いで三助を勤めました。

人々に愛され続けながら三助職人をまっとうした橘さんでしたが、2013年12月29日に高齢のため引退。由緒正しき日本のお風呂文化が、またひとつ幕を閉じたのでした。

三助はまだ利用できる?

橘さんの引退を機に、ついに日本から消えてしまった三助。しかし、その橘さんが技術を直伝したサービスが、神奈川県座間市の「湯乃泉相模健康センター」、神奈川県厚木市の「湯乃泉東名厚木健康センター」、埼玉県草加市の「湯乃泉草加健康センター」に今もなお根付いています。

三助サービスを受けられる施設「湯乃泉健康センター」

上記でご紹介した神奈川県と埼玉県に構える「湯乃泉 健康センター」では、1日2回無料で希望者の背中を流すサービスを実施中。事前予約は不要で、浴場内にいるスタッフに声を掛けるだけで利用することが可能です。男女問わず利用できるので、三助を体験したい方はぜひ訪れてみてくださいね。

相模健康センター

座間市の相模健康センターで三助サービスが受けられるのは平日は11時から11時30分まで、土日祝日は11時から11時30分と18時30分から19時までの2回です。

「湯乃泉 相模健康センター」の施設情報

施設情報 湯乃泉 相模健康センター
住所 神奈川県座間市東原3-23-1
電話番号 046-253-4126
アクセス 相鉄線「さがみ野駅」北口より徒歩6分
駐車場 最大200台(無料送迎バスあり)
営業時間 24時間
定休日 年中無休
料金 大人1,150円〜、幼児300円〜
URL http://www.yunoizumi.com/sagami/

東名厚木健康センター

東名厚木健康センターの三助サービスは午前11時から11時30分までの30分間です。土日祝日はさらに、17時30分からと18時の30分からもサービスをおこないます。

「湯乃泉 東名厚木健康センター」の施設情報

施設情報 湯乃泉 東名厚木健康センター
住所 神奈川県厚木市岡田3-17-10
電話番号 046-227-4126
アクセス 小田急線「本厚木駅」、JR「平塚駅」より無料送迎バスあり
駐車場 最大290台
営業時間 24時間
定休日 年中無休
料金 大人1,150円〜、幼児300円〜
URL http://www.yunoizumi.com/atsugi/

草加健康センター

草加健康センターで背中流しサービス時間は平日なら11時から11時30分までの30分間です。土日祝日は11時から11時30分と17時30分から18時の2回サービスが提供されます。

「湯乃泉 草加健康センター」の施設情報

施設情報 湯乃泉 草加健康センター
住所 埼玉県草加市北谷2-23-23
電話番号 048-941-2619
アクセス 東武伊勢崎線「草加駅」、「竹ノ塚駅」などより無料送迎バスあり
駐車場 大型駐車場完備
営業時間 24時間
定休日 年中無休
料金 大人1,250円〜、幼児300円〜
URL http://www.yunoizumi.com/souka/

一生に一回は三助を利用してみて!

銭湯のれん

日本の銭湯文化が栄えるとともに、銭湯客の世話係を勤めた三助。今ではその姿を見ることはなかなかできなくなりましたが、最後の三助職人である橘さんの意思をつなぐ施設もあります。伝説となった三助のサービス、生きているあいだに一度は体験してみたいものです。

関連記事はこちら